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食 料
我々にとって初めてのヒマラヤ遠征であったため、食料についても色々頭を悩まされた。他の遠征隊の報告書を読み、その種類と量の豊富さに驚かされ、ヒマラヤ用の食料に一体どんな物を用意すれば良いのかわからず、頭を抱え込んだ時期もあった。しかし、色々な報告書の反省を読んだり、経験者の話を伺ったりしている内に、結局、6千m級の山で、一ケ月程度の計画であれば、特別ヒマラヤである事を意識しなくても、長期の冬合宿だと思って計画を立てれば十分であろうと思うに至った。
1.キャラバン食
我々の場合、キャラパンが短いので、キャラバン中の食料は全てエージェント任せにした。エージェントから派遣されたコックが、日本人に合わせて辛さを抑えた現地合を作ってくれたので、全く間題はなかった。
2.ベースキャンプ食
ベースキャンプは現地食の予定であったので、現地で購入した米や野菜をコックに渡し、メニュー等はコックに任せた。エージェントとの契約では、ベースキャンプでの我々の食料は我々が購入し、リエゾンオフィサー、コック、キッチンボーイの食料はエージェントが用意すると言うことになっていたのだが、実際にはごちゃまぜになっており、我々が購人しなかった肉や野菜や果物がどんどん出て来た。しかし、これは相当高い金をエージェントに払っているのでかまわないのであろう。
最初は、全て現地食で行くつもりでいたが、行動が始まり、高度障害と疲労で食欲が減退してくると、くせのある現地食では食欲が湧かなくなった為、余分なアルファー米主食の登山活動食をベースキャンプ食に回すことにした。みすぼらしい登山食であっても、胃に収まり易いのは確かであった。
嗜好品はできるだけ抑えようとしたのだが、やはりヒマラヤのベースキャンプだからと、何やかやと持って行ってしまった。しかし、面倒臭がりの食料係のせいもあって、殆んど使わずじまいであった。
3.登山活動食
これは、アルファー米を主食とした登山食で、乾燥野菜とベーコンを使用。日本の冬合宿で使用する食料と全く同じである。水分を取るため、スープ・みそ汁類は余分に持って行ったのだが、思ったより使用せず、紅茶とポカリスエットをがぶ飲みしていた。
今回の遠征の食料計画は、どう考えても用意周到とは言えず、登山活動食のメニューなどは行きあたりばったりという有様だったが、メンバーが全員同じ合宿を過ごして未だ仲間であり、その辺の呼吸がわかっていたので、特別問題は起こらなかった。又、全員が食料の内容と使い方を大体呑み込んでいたので、登山活動に人ってからは、食料係の仕事は殆んどなかった。そういう点では非常に楽であった。
最後に遠征の食料調達には、尾西食品、菱食、松山酒販、秋田商店、松山生必、各社に御協力頂き、誠に有難うございました。深く御礼申し上げます。
(記 川口 裕幸)
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