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                    登頂を終えて


6月19日 (土) 曇時々晴
 昨日のアタックによる疲労と虚脱感のため、三人ともなかなか起き上れない。できれば早くBCへ下りたいが、後始末をしないわけにもいかない。 12時頃に、固定ザイルの撤収へと向う。ジャンケンに勝った曽我部は、紅茶を作ってから二人の後を追う。回収したザイルをBCまで下ろすことは体力的、時間的(モンスーンの為)に不可能なので北面の氷河に投げ落とす。クリーンクライミングとは程遠いことである。

6月20日 (日) 晴時々曇
 C2を撤収し、途中のフィックスザイルを回収しながら、BCへと下る。昨日までの荒
天が嘘のような快晴になる。『なんという皮肉か』と嘆いてみても仕方がない、これも運である。久しぶりに見るケダルガンガは一面の雪も溶け、今は荒涼としたガレ場と化している。荷上げに通ったスノープリッジもすっかり無くなり、かなり上流まで高巻きしなければ渡れそうにない。
 1,500mを一気にかけ下り疲労した我々は石伝いに濁流を飛び越えようとするが、曽我部一人が氷何の冷たい水の中に墜落という破目になってしまう。
 BCでは連絡将校のクマール氏とコックのキシャンが、暖かく我々を迎えてくれる。知らず、顔から笑みがこぼれてくる。キシャンが登頂を祝って、我々に大麻をごちそうしてくれる。

6月21日 (月) 晴後曇
 のんびりと休養したいが、明後日にはポーター達が登って来るので、C1へ撤収のため登らなければならない。これが最後の登りであると思いつつも、体は重い。C1にて最後の記念撮影を済まし、後ろ髪を引かれながらBCへと下る。昨日の失敗にこりて、延々と高巻きの苦痛に喘ぐ。

6月22日 (火) 晴後曇一時雨
 昼近くまでのんびりと休み、BC撤収の為のパッキングを行なう。食糧の残りをクマール氏とキシャンに分け与えるが、ちゃんと食べることができるのかと心配になる。夕方BCに登ってくるはずのポーター達がなかなか来ず、心配になるが、夜遅くキッチンボーイのパハドゥルがテントにたどり着き、明日の朝早くポーター達が上ってくるという連絡を受ける。