腰部脊柱管狭窄症
愛媛新聞 accrete(アクリート)健康相談投稿原稿
Q.55歳の主人のことです。 1年半ほど前から、腰が重く左足がしびれるとのことで、総合病院を受診したところ「腰部脊柱管狭窄症」とのことで、左足のしびれから「左下垂足」との病名をうけました。現在、左短下肢装具をつけて生活しています。「下垂足」の原因、治療法を教えてください。 (54歳、女性)
A.脊椎(背骨)の中の神経の通り道を「脊柱管」といいます。中高年になって、骨や椎間板などが加齢により変形し、脊柱管が狭くなった状態が「腰部脊柱管狭窄症」です。脊髄から分かれた馬尾神経や神経根とよばれる神経が圧迫をうけるだけでなく、血流不足や酸素不足により腰痛、足のしびれや痛みなどの様々な症状を引き起こします。
特徴的な症状として「間欠性跛行」があります。これは座っているとなんともなくて、しばらく歩いたり立っていると足のしびれや痛みで歩けなくなり、少ししゃがんで休むとまた歩けるようになる、という症状です。
「下垂足」は、脊柱管から枝分かれした神経根というところが圧迫され、足首を起こす力が弱くなり、足が下がった状態になります。
歩くときにつまずき易くなるため、足首をもちあげる装具(短下肢装具など)をつけると歩きやすくなります。
一般的な治療としては、安静、薬物療法(痛み止め、血流改善薬、漢方薬など)、神経に直接麻酔を注射する神経ブロック、腰痛体操や腰椎牽引、低周波などのリハビリ、コルセットの装着などがあります(保存的治療)。しばらくこれらの治療を続けて効果がない場合に、椎間板ヘルニア摘出術や脊柱管拡大術などの手術治療を考えることになります。
手術をすれば必ずしも症状がすべてなくなるわけではないので、患者さんの年齢、合併症の有無、体力などを考慮においた上で、MRI、脊髄造影などの検査結果を総合的に判断して行います。
手術により、痛みや間欠性跛行などの症状は改善することが多いですが、しびれや筋力の弱さは残ることがあります。
下垂足の場合、痛みが少なければ、装具により不自由が少なくなるので、手術をしないでリハビリや薬の内服をしながら経過をみる場合も多いようです。手術が必要かどうか担当医とよく相談をして治療方針をきめるのがよいでしょう。(佐々木整形外科 佐々木雅敏)