アキレス腱断裂
アキレス腱断裂はスポーツ選手のみでなく、一般のスポーツ愛好家にもよく見られる外傷です。
これまでほとんどの整形外科医にとっても、あるいは一般的にも ”アキレス腱断裂は手術しないときちんと治らない外傷である。”と信じられてきました。
私自身、20年前に開業するまでの勤務医時代には”アキレス腱断裂は手術しないとまともに運動できるようにならないよ。”と先輩から教えられ、自分でもそう信じて積極的に手術をしていました。
しかし最近、”手術しないでもいい結果が得られる。”というデータが発表されるようになってきました。
今では、当院でも手術をせず、ギプスや装具療法などの保存的治療を行っていますが、手術と比較しても何ら遜色なく治癒しています。
むしろ手術を受けた患者さんにこそ、手術の傷口の痛み、引きつり、疲れやすさなどの後遺症が残る場合があるように思われます。
以前は、希望がある患者さんには手術もしていましたが、今では ”手術しないといけないというのは迷信ですよ。しないほうが結果がいいですよ。” と説明していますが、手術しないなら違う病院で手術をしてもらうと転院される患者さんもいます。(残念です。・・・・手術しないほうが結果がいいのに・・・。)
ある有名な元プロテニスプレーヤーも、アキレス腱断裂に対して保存的治療をうけ、元気にテニスをしていると徹子の部屋で語っていました。
また、高校野球の監督をしていた方がアキレス腱を切って、”手術をせずに治療してくれる病院を探してきた。” と いって来院されたことがあります。
よく聞くと、”教え子のうちプロに進んだり、社会人で活躍している野球選手でも最近は手術せずに治すことが多くなっており、そのほうが現役として続ける確率が高いので”、と言っていました。
アキレス腱断裂の手術後は、約4~6週間、ギプス固定や装具による固定をします。
保存的に治療するときは6~8週間固定します。この頃には少し治りが遅いように感じますが、3ヶ月目頃にはあまり、差はなくなります。
6ヶ月以上たつと逆に、手術した場合と比べても、疲れやすさ、運動後の痛みなどはほとんどなくなります。
アキレス腱断裂で手術しないとびっこが残ったり、スポーツができなくなるというのは迷信です。
手術が必要なのは再断裂の場合くらいです。
ほとんどの場合、保存的治療で問題なく治ります。